10. 明日も (リーマス/07の続き)
「まだ見つからない、アレの死体が」
だから今日も、と言って彼女は僕のベッドに腰掛けた。
それから、また自分の部屋で眠れない、とまるで明日が世界の終わりの日であるかのような暗い顔をして呟いた。
「あれは効果がなかったのかい?えーと、アース…なんとか」
「うーん、効果あるはずなんだけどね、アースジェット。もしかしたら家具の後ろにアレの死体があるのかもしれないんだけど、万が一生きていたら…と思うとなかなか確かめられなくて」
そしてまた頭を抱えて悩んでいたが、何かを思い出したようにふっと頭を上げた。
「どうかした?」
「いや、うん、判ってるんだけどね」
そう言うと、は自分の枕に顔を埋めた。
それから「あー」とか「うー」とか言って足をバタバタ動かした。
何を判っているのか僕には判らなくて、首を傾げた。
「どうし・・・」
「判ってるってば、魔法使えばアレぐらいどうにでもなるって」
むくりと起き上がり、彼女は僕を真っ直ぐな瞳で見据えた。
「でもそれしたら絶対アレは私の部屋に出なくなるから、ここに来る理由がなくなると思って」
そんなことをが言うとは思わなくて、僕は驚きのあまり二の句が継げなかった。
彼女は何も反応を返さない僕にチラチラと視線を寄越しては、言わなきゃ良かった…と呟いて顔を赤くした。
フフ、っと僕の口から笑いが漏れる。
学生時代の大人びた彼女とかけ離れた今の彼女がおかしくて、笑いをこらえ切れなかった。
「、顔真っ赤…」
「笑うな!」
笑い混じりに指摘すると、はより一層顔を真っ赤にして手に持っていた水色の枕を僕に投げ付ける。
僕はそれを簡単に受け止めた。
こんなに恥ずかしがるを見たことはない。
「明日も、おいで」
彼女はバツの悪そうな表情で頷いて布団の中に潜り込んだ。
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二番目に書くのに苦しんだお題。
不完全燃焼ですみません。
20070325